研究実績の概要 |
グラフェンなどを含むナノカーボン物質では、その特異な電子状態により新しい光電変換の物理・応用を研究する舞台となりうる。ここでは、そのような観点から新しいナノカーボン物質であるであるナノグラフェン(グラフェン量子ドットや酸化グラフェン)を作製し、その光学的性質を明らかにすること、さらにその太陽電池応用を目的として研究を進めた。グラフェン量子ドットは数ナノメートル程度の非常に小さなサイズのナノグラフェンであり、様々な光応用が期待される系である。しかしながら、発光の起源を含むグラフェン量子ドットの光物性については未解明な点が多く、多くの議論がなされている。そこで我々は、量子サイズ効果等の観点から光学特性のサイズ依存性関係について詳細に調べた。まず、高速液体クロマトグラフィーによってグラフェン量子ドットをサイズ分離し、分離したサンプルの詳細な発光測定を行った。その結果、そのサイズを変化させると、4つの系列から成る発光が離散的に変化することが明らかとなった。他の実験手法(TEM, AFM, XPS)による結果も合わせ、その特異な発光は、サイズの異なるグラフェン量子ドット中に存在する酸素官能基が付加したsp2構造に起因することが明らかとなった。同時に、酸化グラフェンについても、その発光の起源にグラフェン量子ドットと同様なsp2構造が関与していることを明らかにした。さらに、ナノグラフェンをキャリア輸送層に適用した太陽電池を作製した。
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