研究課題
パルスマグネットに挿入可能な新しい顕微鏡システムを構築した。このシステムを用いて室温マルチフェロイック物質であるビスマスフェライトにおけるドメイン観察を行った。この物質に対して、最近我々は新しい不揮発性メモリー効果を発見しており、その起源は電気磁気ドメインの外場制御にあると考えている。先行研究によると近赤外光の透過実験でこの電気磁気ドメインを識別できる可能性がある。そこで実際に無磁場下で近赤外光の透過配置で観察したところドメイン構造が見えた。このドメインが結晶の双晶によるものか、電気磁気ドメインによるものかは無磁場下の観察では判別がつかない。そこで本研究で構築した強磁場イメージングシステムを用いて、磁場誘起相転移が起こる27Tまでの、近赤外透過イメージング実験を行った。その結果観察されたドメイン構造に有意な変化は見られず、これらのドメインが結晶の双晶構造に由来するものであることがわかった。今後は偏光依存性や光の入射方向依存性などを通じて電気磁気ドメインを見分ける方法を確立し、その場観察による不揮発性メモリー効果の起源解明を進めたい。また本研究で構築したイメージングシステムに改良を重ね、様々な磁性体の強磁場物性研究に活用する予定である。
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http://tokunaga.issp.u-tokyo.ac.jp/Tokunaga_Lab/lun_wen.html