一般に重い電子系の磁気秩序温度は数K,超伝導転移温度は1K程度と低いのに対し,磁気的な性質が変化する磁場は数~数十Tと高い。このような系の研究にはパルス強磁場を用いた数十Tの磁場が必要となる。パルス強磁場で大きな問題となるのは,渦電流による発熱である。これが重い電子系の強磁場・極低温・高圧実験を困難なものとしている。そこで,本研究では,1K以下の極低温・40Tを超えるパルス強磁場下で数GPaの圧力を発生できる圧力セルの開発を目指した。その結果,1.5K,60Tで4GPaの圧力を発生できる圧力セルの開発に成功するとともに,CeRh2Si2における4f電子の局在的性質と遍歴的性質の分離に成功した。
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