本研究では、従来の固体NMR測定手法の感度を凌駕する光検出磁気共鳴技術を開発し、これまで不可能であった微小試料のNMR測定の実現を目指した。その結果、高磁場を必要としないゼロ磁場・超低磁場(ZULF)のNMR測定に成功し、新しい高感度磁気プローブ実現に向けた基盤的技術を構築した。アルカリ原子蒸気セルを磁気センサとして用い、これまで溶液試料でしか実現していなかったZULF-NMRの用途を、粘性液体およびゲルポリマーへと拡大させた。本研究により、緩和時間や分子間相互作用を微視的に観測する手段として、ZULF-NMRが有効であることが示された。
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