本研究は、データ駆動型の研究方法を物性物理の分野で展開することである。まず磁化曲線の観測データを入力として、これまでの経験的な理論モデルの構築に機械学習の技法を援用する方法を提案した。複数の候補から適切なモデル選択が可能となった。その結果、スピン構造など実験的に観測が難しい情報へのアクセスが可能となり、その後の実験計画に役立てられるようになった。さらに、扱う系を量子系に展開するためにはベイズ最適化の手法が有力であることがわかった。一方、大規模施設からのデータを想定して、中性子散乱実験のスペクトルから緩和時間分布を推定する問題に着手し、実データ解析も含めた新しい方向性を示すことができた。
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