1次元のイジング模型は正確に解くことができるが、一般の長距離相互作用を持つイジング模型は、正確に解くことはできない。従って、そのスピン配位を生成することも容易ではない。我々はブロックを単位とするくりこみ群を用いて正確に自由エネルギーを計算することを通じて、磁気感受率を計算する方法を開発し、有限レンジスケーリング仮設を利用して、感受率の発散点を求めることに成功している。この結果を用いることによって、長距離相互作用を持つイジング模型の配位を生成する制限ボルツマン機械を構成してその出力を検定することに挑戦した。 長距離相互作用イジング模型の配位を、短距離相互作用イジング模型の配位に確率補正を組み合わせることで定義し、制限ボルツマン機械のパラメタを最適化する計算を行った。確率補正係数を各サンプルの有効発生数とみなすことができるので、尤度関数を最大化する通常の方法論が使える。ボルツマン機械のパラメタによる尤度の微分係数を用いた最速降下法で最適化をはかる。確率補正が大きくなりすぎるとサンプルの質が悪化する。従って、短距離相互作用から目的の長距離相互作用に向かって、ハミルトニアンを十分に薄くスライスし、各スライス事に制限ボルツマン機械の最適化を実行し積み上げて行く、という多段最適化法を新たに提案し実行した。 長距離相互作用のレンジを9まで、最近接相互作用を0.8までとし、いくつかのモデル点に対して、オーム型の指数減衰の場合にボルツマン機械を構成した。出力配位の検定をブロックくりこみ群の結果と比較することによって行ったところ、十分に正確な磁気感受率を持つ配位であることが確認できた。
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