研究課題/領域番号 |
25610107
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
安田 千寿 琉球大学, 理学部, 准教授 (20398564)
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研究分担者 |
秋山 聡 和歌山工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10256662)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | フォノン / フラストレーション / 量子相転移 / 量子モンテカルロ法 / 有効ハミルトニアン |
研究実績の概要 |
本研究課題では、あるパラメータ領域のフォノン系がフラストレーション系と同じ性質をもつことを解析的に示し、その領域におけるフォノン系の量子モンテカルロ計算からフラストレーション系の知見を得る方法を確立する。これまで、幾何学的な構造変化を考慮に入れたスピンーフォノン間相互作用を持つフォノン系において、フォノンの自由度を解析的に消去することにより、スピンの自由度からなるフラストレーション系の有効ハミルトニアンを導出する方法を開発した。さらに、この方法を二次元系に応用できるように発展・拡張させた。 本年度は、フォノン系に含まれるスピンーフォノン間相互作用に次近接相互作用を含め、その場合におけるフラストレーション系の有効ハミルトニアンを導出する方法を発展させた。このような系の基底状態では、3種類のボンド長をもつ新奇なテトラマー相が実現する可能性が指摘され、興味が持たれている。このフォノン系の有効ハミルトニアンを導出した結果、6次までのスピン間相互作用と四体相互作用からなるフラストレーション系が得られた。まずは簡単のため、最近接と次近接のスピン間相互作用だけを含む系を解析した結果、基底状態として様々な状態が実現することが分かった。例えば、強磁性状態、スピン液体状態、ダイマー状態などである。現在、すべての項を含む有効ハミルトニアンにおいて、一般的なダイマー間構造因子を厳密対角化法で計算することにより、新奇なテトラマー相が実現するかを調べているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析的方法の拡張・発展は順調に進んでいるが、有効な量子モンテカルロ法のプログラム開発が遅れている。 本研究で調べたいフォノン系を量子モンテカルロ法を用いて数値的に計算するためには、最新の様々なアルゴリズムを複合的に用いたプログラム開発を行わなければならない。それらのアルゴリズムの修得や有効性の確認に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
フォノン系の有効ハミルトニアンであるフラストレーション系の導出方法を様々な相互作用を含む場合に拡張・発展させるとともに、フォノン系における量子モンテカルロ法の開発を行う。課題になっている量子モンテカルロ法の開発の対応策として、議論できるパラメータ領域を限定したプログラム開発を行う。そのプログラムが適用できるパラメータ領域を限定することにより、用いる様々なアルゴリズムを少しずつ含んだプログラム開発を行うことができ、それらの有効性を確認しながら研究を進めることができる。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内外における所用のため、出張ができなかったり、出張期間が短くなった。そのため、旅費の支出が計画より少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
出張が可能な研究者のほうへ旅費を多く分配し、専らメール等で行っていた研究打ち合わせをより効果的にするために、直接会って打ち合わせをするための旅費として配分する。また、論文印刷費のための費用が予定よりかかっているため、論文印刷費として多く配分する。
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