研究課題/領域番号 |
25610117
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野村 慎一郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50372446)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 人工細胞モデル / リポソーム |
研究概要 |
本研究は,我々が独自に開発した細胞サイズリポソーム内に単離した細胞内小器官を導入する手法を基盤とし,細胞内小器官が機能する新しい人工細胞モデルシステムを創出することを目的としている.初年度は,哺乳細胞の無細胞発現系を導入した細胞サイズリポソームの構築を行い,抽出した細胞内小器官の活性評価手法の調査を行った.その過程において,細胞サイズリポソームと細胞膜との融合を利用して,細胞内への人工物の導入が可能であることが明らかになった.この新たな手法についての調査と特許申請を行い,現在論文投稿中である.本テーマでは細胞内小器官の活性が維持された状態での操作が必須となり,本手法はこれを実現する重要な技術であると考えている.細胞サイズリポソームに搭載されうる生化学反応系の試作として,無細胞タンパク質合成(転写/翻訳)系とカップリングした遺伝子複製系の構築に成功し,Nucleic Acid Res.誌に報告した.また,人工細胞モデルに関する実績として,外部磁場により界面上を回転することで任意の方向に移動する細胞サイズのリポソーム(マイクロクロラ)を報告した(国際会議論文:ECAL2013).細胞サイズのリポソームを基盤としてこれらの成果を組み合わせる事で,自律性と人為操作性の両方を備えたモデル系の構築が期待できる.付随した研究成果として,バクテリアのシャペロン活性を利用した塩濃度センサの構築(Analytical Methods誌)に成功しそれぞれ論文にて報告を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生きた細胞と細胞サイズリポソームとの融合による人工物の導入手法の評価と確立に時間を要し,抽出した小器官の活性評価が遅れている.本テーマでは細胞内小器官の活性が維持された状態での操作が必須となり,本手法はこれを実現する重要な技術である事から,次年度につながる進展であると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
前年度に確立した技術を利用し,無細胞発現系を導入した細胞サイズリポソームと生細胞を融合した准人工細胞モデルを構築し,その構造の解析,経時変化の調査を,既設の測定装置を用いて行う.本モデルと生きた細胞との差異を定性的,定量的に明らかにすることを目的とし,特異性の高い蛍光色素を用い,各小器官の局在および機能について調査を行う.
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