研究課題
本研究は,単離した細胞内小器官を細胞サイズリポソーム(GUV)内に導入する手法を基盤として,新規な人工細胞モデルシステムの創出を目的としている.「GUV-細胞電気融合法」によって,細胞の内部空間にさまざまな人工物質を送り込めることが明らかになり,特許申請を行い,論文に報告した(PLoS ONE誌).交流電場によって整列させたGUVと細胞に対して,パルス電場を印加することによって細胞膜とリポソーム膜を一時的に融合し,形成される孔を介して人工物が導入される.蛍光ビーズとHeLa細胞を用いて,導入される物質のサイズ依存性をレーザー共焦点顕微鏡,フローサイトメータを用いて調べ,直径1マイクロメートルまでならば細胞内部に導入されることがわかった.またサイズが合えば磁気ビーズやプラスミド,DNAオリガミ,およびこれらの混合液もまとめて導入されうることも明らかになった.本法の利点として,人工物質を,ペプチドタグや正電荷脂質などの化学的なモディファイなしにそのまま細胞内(サイトゾル)に導入できる点,外膜突破やエンドソーム脱出の経路を考えなくてもよい点,等が挙げられる.本件は他の生理活性物質の導入について試験を進めており, PCT出願を準備中である.この成果は,遺伝子導入を伴わない細胞の機能改変や,細胞の機能再構成に大きく貢献するものと考えている.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 1件)
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