研究課題/領域番号 |
25610120
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中野 実 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (70314226)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / 脂質 / アポリポタンパク質 |
研究概要 |
コール酸透析法により、アポリポタンパク質とリン脂質からなるディスク状複合体(ナノディスク)を調製した。調製時の温度やリン脂質とapoA-Iのモル比(25:1~100:1)、リン脂質の種類を変え、得られる粒子の大きさ(流体力学的直径)をサイズ排除クロマトグラフィーにより評価した。調製条件に依存して、流体力学直径が約9.6nm (large size)、および7.9 nm (small size)のナノディスクが得られた。リン脂質としてホスファチジルコリン(PC)のみを用いて調製すると、37℃においてはlarge sizeのナノディスクが生成したが、ホスファチジルセリン(PS)やホスファチジルエタノールアミン(PE)を含む条件ではsmall sizeのナノディスクの生成量が増加した。蛍光寿命および蛍光異方性データから、PSはsmall sizeナノディスクの鞍状構造を安定化し、一方、PEはlarge sizeナノディスクの平面構造を不安定化することが示唆され、両脂質がsmall sizeのナノディスクの形成を促進する機序が異なることが明らかになった。 次に、ナノディスクの高次構造化について検討した。アニオン性、あるいはカチオン性のリン脂質を含むナノディスクを調製し、透過型電子顕微鏡により観察したところ、両ナノディスクを等量混合した試料は、混合前の試料に比べて連銭状の構造体の割合が顕著に増加した。このことから、静電相互作用を利用してナノディスクをスタックさせることが可能であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに評価を行うことができた。特に、ナノディスク形成における脂質組成依存性の評価においては、負の自発曲率を有するPEがsmall sizeのナノディスクの生成を促進することから、この粒子が鞍状構造をもつという我々の従来からの主張を支持する結果を得ることができた。また、静電相互作用を利用したナノディスクの高次構造形成を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定に沿って実施する。すなわち、ナノディスクに蛍光脂質を導入し、ナノディスクの集積に伴い蛍光の励起エネルギー移動を生じさせるシステムを構築することで、集積・離散化をリアルタイムに捉える手法について検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
ほぼ当初の予定通り使用したが、物品によっては予定よりも購入価格を抑えることができたため。 増税分を考慮し、当初の計画通り使用する。
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