本研究では,観測結果に基づいて,キネシンの化学-力学状態遷移ネットワークモデルを論理的に構築し,動力学的特性の統一的再現を実現した.主要サイクルの解析により,一般に信じられている標準的モデルとは本質的に異なる次の結果を得た. (1)特定のサイクルのみに依存せず,ATP濃度および外部負荷に応じてサイクルの反応経路を変化させながらdead endを回避して,安定した前進ステップ運動を実現する.(2)後方への外部負荷に対するロバスト性を維持するために,ATP濃度にかかわらず,主要サイクルに対するネットワーク上での適切な反応経路を選択している.
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