研究課題
脳の神経回路は、多数のニューロンがネットワークを形成して成り立っている。脳神経回路の解析を進めるためには、(1)脳組織の微細構造を三次元的に可視化し、(2)得られる三次元像を解釈してネットワークモデルを構築し、(3)これを神経回路に変換する、という3ステップを経なくてはならない。このようなニューロンレベルでの神経回路の研究は世界的にも端緒についたところであり、ステップ2のモデル構築も手作業で行われるのが現状である。このため、解析に多大な時間と労力を要し、ネットワーク構造を構築した報告は少数に限られる。そこで本研究では、専用のアルゴリズムを用いて三次元像を機械解釈させ、コンピュータによるモデル構築を目的として測定・解析を進めてきた。神経ネットワークは、ニューロンの細胞体の粒状構造と、そこから伸びる軸索・樹状突起の線状構造から構成される。実際の解析像では、毛細血管の構造や、試薬の沈着等による実験的なノイズが含まれる場合もある。そのような解析対象とすべきでない構造部分の識別については、既に専用のアルゴリズムを考案してソフトウエアに組み込んでいる。本年度は、これを応用してモデル構築時にマスクし、神経ネットワークの線状構造のみを検出することで、モデル構築を迅速に行うことできた。そこで、当該年度も含めて測定してきた各症例の脳組織構造を、網羅的に解析する作業を進めた。これらの解析では、テラバイト単位のデータを逐次アクセスして画像処理することが必要となり、本年度の物品費によりハードディスクアレイとRAIDインターフェースを整備して研究に供した。また、解析の対象となる三次元像を得るため、脳組織検体を用いて測定も引き続き行った。測定実験は放射光施設に赴いて行う必要があり、そのために旅費を支出し、測定データを得て上述の解析に用いた。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
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