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2013 年度 実施状況報告書

流動下での高分子過冷却液体の有効温度

研究課題

研究課題/領域番号 25610127
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関立命館大学

研究代表者

深尾 浩次  立命館大学, 理工学部, 教授 (50189908)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードレーザーピンセット / マイクロレオロジー / 有効温度 / コロイド粒子 / 臨界温度 / 2成分ブレンド系
研究概要

本研究ではまず、光ピンセット装置のセットアップを下記の通り行った。赤外レーザー(Cobolt社製)、ミラー・レンズ(シグマ光機社製)、光学顕微鏡(NIKON, Ti-U)を組み合わせてシステムを構築した。レーザーの光軸が対物レンズの中心を通過するように光学系をアライメントすることで、数μmサイズの微粒子 を対物レンズの焦点位置で捕捉(トラップ)できることを確認した。続いて、光ピンセット装置を用いて2種類の実験を行った。
1. 光ピンセットのトラップ力の見積り:対物レンズの焦点位置でトラップされた微粒子(直径1.1μmのポリスチレンビーズ)の熱運動をCCDカメラで記録し、これを画像解析するこ とでトラップ力の見積りを行った。今回のセットアップでは、最大で20pN(レーザー強度が100mWの場合)のトラップ力が働くことが確認された。今後は系に外力を加えた条件でトラップ力を測定できるようにシステムを発展させ、試料の微小領域における粘弾性挙動(マイクロレオロジー特性)に着目した研究を進める予定である。
2. 水/有機溶媒混合溶液の相分離観察:臨界点近傍の1相状態にある2,6-ルチジンの水溶液にレーザーを照射したところ、10μmのスケールで液液相分離が誘起され、この相分離液 滴がレーザーの焦点位置にトラップされる、という振舞いが観測された。同様の現象がこれまでに3-メチルピリジン水溶液で見つかっている(KS et al.,2008)が、本研究はこの一般性を確かめたことになる。ただし、相分離が誘起される原因については未解決であるため、今後も更にレーザーの強度や試料の 温度を変化させながら実験を進める必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

有効温度測定として、電気回路のノイズシグナルの測定方法を予定していたが、より精度の高い手法として、レーザーピンセットによるマイクロレオロジー法を用いることが可能な状況となったため、その方向への転換を決意した。そのため、当初の予定よりもやや遅れる結果となった。

今後の研究の推進方策

当初の計画から、より精度の高い手法としてレーザーピンセット法を用いたマイクロレオロジー法への転換を決意したため、以下の手順により今後の研究を進めて行く。
1. フォースモジュールシステムを組み上げることにより、トラップ力の測定を可能とし、マイクロレオロジー測定システムを組み上げる。
2. 外力を加えた場合の応答関数と自発的なゆらぎの相関関数を実験的に求め、両者の比より、有効温度の評価を行う。
3. レーザーピンセット技術の向上のために、2成分ブレンド系での相分離挙動をレーザートラップを用いて調べる。

次年度の研究費の使用計画

測定手法をより効果的な実験手法に切り替える決断をしたため、当初の予定より全体に後ろ倒しになったため。
当初、電気回路に使用を予定していた分が次年度へ送られた。その分については、マイクロレオロジーシステムの立ち上げに必要な物品費として使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Segmental and local dynamics of stacked thin films of poly(methyl methacrylate)2014

    • 著者名/発表者名
      T. Hayashi, K. Fukao
    • 雑誌名

      Phys. Rev. E

      巻: 89 ページ: 022602

    • DOI

      10.1103/PhysRevE.89.022602

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Viscoelastic behavior of polymerized ionic liquids with various charge densities2014

    • 著者名/発表者名
      Kenji Nakamura and Koji Fukao
    • 雑誌名

      Polymer

      巻: 41 ページ: 21-27

    • DOI

      10.1016/j.polymer.2013.04.039

    • 査読あり
  • [学会発表] Glass transition and dynamics of multi-layered thin polymer films

    • 著者名/発表者名
      K. Fukao, H. Takaki, T. Hayashi
    • 学会等名
      7th International Discussion Meeting on Relaxations in Complex Systems
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
    • 招待講演
  • [学会発表] Static light scattering studies on the sol-gel transition of Laponite suspension

    • 著者名/発表者名
      T. YASUTA , H. INOUE , K. SAKURAMOTO , K. FUKAO
    • 学会等名
      7th International Discussion Meeting on Relaxations in Complex Systems
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
  • [学会発表] Glass transition and dynamics of multi-layered thin films of PS and P2CS

    • 著者名/発表者名
      H. Takaki, K. Fukao
    • 学会等名
      7th International Discussion Meeting on Relaxations in Complex Systems
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
  • [学会発表] Glass transition dynamics of PMMA stacked thin polymer films

    • 著者名/発表者名
      T. Hayahi, K. Fukao
    • 学会等名
      7th International Discussion Meeting on Relaxations in Complex Systems
    • 発表場所
      Barcelona, Spain
  • [図書] "Heterogeneous dynamics of multilayered thin polymer films", Chap.9 of "Advances in Dielectrics"2014

    • 著者名/発表者名
      Koji Fukao, Hirokazu Takaki, Tatsuhiko Hayashi
    • 総ページ数
      35
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2015-05-28  

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