前年に引き続き、片方に極小鏡を利用した、垂直方向に配置されたFabry-Perot共振器の半共振制御実験を行った。通常の共振制御は問題なく行えたが、共振からオフセットした半共振の位置でOptical Springが発生している状態での制御では、入射レーザー光線のパワーを増やしていくと、制御中に特定の共振周波数で発振が起き始めた。これは、半共振状態では、半共振の位置としては正バネ状態が実現できていても、動的つまり、鏡が動いている実際の状況では、光が動いている鏡にあたっている時に反射光に発生するわずかな周波数ドップラーシフトをした光が「見る」共振器の共振線幅位置が、それが起きていない鏡が見る共振線幅の位置からずれてみえ、その共振線幅の位置のずれがちょうどその鏡の動きを増幅する方向に力が加わる効果(反ばね効果)につながることで、結果、発振現象が発生すると理論的に解釈できることが分かった。この振動を抑えるために、この共振周波数だけを特に低減する最適化されたアクティブなフィードバック制御をおこなうことにより、共振を安定化させることができた。これにより、より大きなレーザーパワーを入射しての、半共振制御が可能となった。さらに入射パワーの増大による光輻射圧の増大で鏡が押し上げられる効果への追随を表すと思われるフィードバック制御信号内のDC成分の増大も観察され、浮上には至っていないが、十分共振器内レーザー光量の高まりを確認できた。以上により、本実験の目指した、光浮上型重力計に必要な、垂直型の共振器の半共振制御が原理的に可能であることが示された。
|