研究課題/領域番号 |
25610142
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
河本 和明 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (10353450)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エアロゾル第2種間接効果 / 衛星観測 |
研究実績の概要 |
本年度は、海洋上の雲の巨視物理量と微視物理量の関係性を調べた。黒潮などの海上でありながら強い上昇流が発生している場合の雲成長過程の変化は明らかになっていないため、黒潮上の強い上昇流の影響による雲の三次元構造と雲の成長過程の変化を解明することを目的とする。 海面水温(SST)が24℃よりも暖かい領域をON Kuroshio、24℃よりも低い領域をOFF Kuroshioと定義した。また、我々は鉛直プロファイルの中で雲マスクが30から40を示した場合を「雲」と定義した。本研究では幾何学的に厚い雲(幾何学的厚さが6km以上)の場合を対流性の雲と定義している。レーダ反射率による降水カテゴリーの分布を(i)レーダ反射率が-15dBZ未満を非降水, (ii) -15 < レーダ反射率 < 0dBZをドリズル(細雨), そして(iii)0dBZ以上を降水として定義した。平均のレーダ反射率は黒潮のSSTフロントの南側領域の黒潮上(25から30°N)で下層から中層まで大きくなっており、緯度が上がるにつれて値が減少していく。上昇流が強い領域とレーダ反射率の高い領域は一致しているが、上昇流のピークを迎える高度にレーダ反射率のピークを迎える高度は少し低くなる。また、雲発生頻度の高い領域はSSTフロント付近に発生し、レーダ反射率の高い領域とはズレが生じている。 ON Kuroshio上ではOFF Kuroshioに比べて対流雲(幾何学的厚さが6km以上)の発生頻度が高くなっており、特に黒潮上の降水雲は幾何学的に厚くなる(幾何学的厚さが6-12km)傾向がある。また、黒潮上の降水強度は上層に比べて下層から中層(1-6km)で増加している。黒潮の影響は下層のみだけではなく中層にも及んでおり、雲頂付近の雲粒径の大きさはON Kuroshioの方がOFF Kuroshioに比べて大きくなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的と上記の研究業績の概要から、(2)のおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度からの研究結果を議論する中で研究全体をまとめ、今後の発展に繋げるためにモデリング・観測・実験に対する雲微物理場と環境場の降水遷移過程に関する課題を指摘し、要請を提言する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた海外での研究会に参加しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は最終年度であるため、これまでの研究成果をまとめて海外や国内の研究会や学会にて積極的に成果をアピールする。
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