2006年7月と2007年1月のCloudSatとCALIPSO衛星のデータを使用して以下の解析を行った。 雲層内の雲粒子タイプは雲が存在する緯度と高度によってタイプが分かれる。海上・陸上ともに液体水雲の分布は熱帯域(南緯30°から北緯30°まで)で大気中層(5000m)まで存在し、緯度が増加するにつれて存在高度が下がることがわかった。液体水層から高度が増加するに従って、過冷却水層、2D氷雲層、3D氷雲層の順番で存在頻度割合が増加していく。海・陸による分布の違いは南半球極域の過冷却水層・2D氷雲層に大きく現れており、海上では下層(0-4000m)付近の2D氷雲層が40%ほどの頻度で存在しているにも関わらず、陸上では2D氷雲層の分布が20%ほどに減少しており、それに対して3D氷雲層の頻度が増加している。このことは南半球極域で、海上に比べて陸上での気温の低下が進むことによって、3D氷雲層が存在する高度が下層側へ遷移したことが原因であると考えられる。 氷雲の光学的厚さと氷粒径の分布は北半球夏季において、緯度が増加するに従って光学的厚さは減少し、氷粒径は減少する雲へと遷移する。2006年7月 と2007年1月の海陸の光学的厚さと氷粒径の頻度分布を緯度毎に3つに分類した場合の頻度分布を考察する。2D氷粒子は、3D氷粒子に比べて光学的に薄く、氷粒径は大きくなる。2D氷粒子は緯度、海陸、季節による変化がほとんど存在しない。2D氷粒子に比べ、3D氷粒子では緯度、海陸、季節による変化が存在する。3D氷粒子雲は緯度が増加するに従って光学的に薄く、氷粒径は増加する。この変化は陸上に比べて海上で、北半球冬季に比べて夏季の方で大きくなる。Okamoto et al. (2010)では、氷粒径とIWC(Ice Water Content)は高度が下がるに従って増加することを示しており、本研究の結果は熱帯に比べて極域の方が3D氷粒子の存在高度が低いことに起因する。
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