研究課題
挑戦的萌芽研究
中国陝西省の寛川溝累層にはエディアカラ紀―カンブリア紀境界のカンブリア紀最初期の地層が産する。特に、この地域には年代を規定する小殻化石(SSF)に加え、卵化石や胚化石が産する。本研究では、それらの胚化石を共同研究者の中国西安市に所在する西北大学と共同で採取した。それらの岩石試料から化石を分離し、特に刺胞動物由来と考えられる胚化石の三次元画像を東北大学のMicro-CTを用いて撮像した。加えて、中国貴州省の瓮安地域には、エディアカラ紀のドウシャンツオ累層が産する。本地域にはエディアカラ紀の藻類化石に加え、胚化石が産する。従来の研究では、本地域にはそれらの胚化石の親種と考えられるものが発見されていないため、それらの胚化石の生物種はいまだ不明である点や比較的大きな400ミクロン程度の胚化石の研究が主にされてきたと言った問題があった。本研究では、後生動物の標準的な卵サイズである100ミクロンサイズの化石を中心に分離し、東北大学のMicro-CTを用いて三次元画像を撮像した。現在、これらの三次元画像を再構成し、解析を進めている。また、陝西省の寛川溝累層の胚化石の内部構造に関する論文を三編投稿した。そのうち、一編は印刷された。
1: 当初の計画以上に進展している
本年度は、これまでに採取した岩石試料を中心に化石の分離を行った。その結果、陝西省寛川溝累層のカンブリア紀の岩石試料と貴州省瓮安ドウシャンツオ累層の岩石試料の両者から胚化石を分離することができた。それらの化石のMicro-CT撮像も東北大学の機器を用いて、十分な解像度で行えている。また、本研究に関して、三編の論文を投稿した。
今年度は、分析試料を増やし、総合的に解析するために、南中国、貴州省などにおいて、エディアカラ紀~カンブリア紀の地層を地質調査し、岩石試料を採取する。そして、それらの岩石試料をから化石を分離し、分析試料を増やし、より総合的に研究を進める。また、採取した化石試料は東北大学などで三次元像解析を行う。
本年度は現有の岩石試料からの化石分離に集中し、化石の三次元像解析の予察的データが出た後に、それらをふまえて中国の調査を行うことにしたため。平成26年度5~6月に南中国貴州省で地質調査を行い、岩石試料を採取する予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)
Gondwana Research
巻: 25 ページ: 983-990
巻: 25 ページ: 1120-1138
PloS One
巻: 8 ページ: e70741
http://ea.c.u-tokyo.ac.jp/earth/Members/komiya.html