研究課題
本研究の目的は、エディアカラ紀~カンブリア紀初期の後生動物の微化石の三次元構造解析から、後生動物黎明期の胚化石や幼生化石の内部生物組織を研究することである。そのために、放射光X線Micro-CTや通常のMicro-CTを用いて微小化石のX線CT像を撮像する技術の開発とエディアカラ紀やカンブリア紀の微小化石の系統的な撮像を行う。また、現生動物胚や幼生と微化石の微量元素マッピングを行い、化学組成から生物種を特定する手法の開発(化学古生物学)をする。本年度は、SPring-8の放射光X線Micro-CTと東北大学のX線Micro-CTを用いて、約200個の微化石の三次元像を解析した。それらの微化石は、エディアカラ紀中期とカンブリア初期のもので、生物種の特定がされていない胚化石と刺胞動物由来とされる卵・胚化石である。加えて、節足動物とエディアカラ動物の中間的な特徴を持つ微化石や刺胞動物のクラゲ類の幼生化石とされるものについても分析を行った。特に、エディアカラ紀の胚化石は100ミクロン程度の小さなものに着目して、分析・解析を行った。これまでの多くの研究が解像度などの分析技術の問題で、400ミクロン程度のものを分析しているので、その点は新しい技術革新となった。また、100ミクロン程度の卵サイズは節足動物等に相当するのでそれらの卵化石の探索を進めた。また、現生生物のサンゴの卵と胚の微量組成マッピングを行った。その結果、Ba, Pb, Srには卵や胚の外縁部に顕著な元素濃集が見られた。また、Mg, ZnやPは外縁部と中央に元素が濃集する性質が見られた。そして、FeやCuは片側に濃集する傾向が見られた。一般にBは藻類や植物などで細胞膜や壁に濃集するとされるが、動物胚ではそのような特徴は見られなかった。これらの結果は化学組成を用いて、化石を分類研究する上での指標となることが期待される。
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