研究課題/領域番号 |
25610155
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川本 竜彦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00303800)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 沈み込み帯 / 水流体 / マグマ / 元素分配 / 塩水 / 蛇紋石 / 非調和溶解 |
研究概要 |
現在までに2種類の高温高圧その場観察実験を実施している。 (1) マルチアンビル型高温高圧発生装置を用いて、マグマと水流体の間での難溶性元素の分配係数を求めている。現在までの結果では、塩濃度が高い場合は、水流体への分配係数は大きくなるが、臨界終端点よりも低圧側では、水流体への溶解度は大きくはない。沈み込む海洋プレートからマントルウェッジに難溶性元素を運ぶためには、塩水であるか、マグマと水流体が完全に混和した超臨界流体でなかればならないと提案する。 (2) 蛇紋石の水流体に対する溶解現象をその場観察している。その結果、蛇紋石は、1GPa以下の圧力条件においては、脱水分解反応する温度圧力付近で、水流体に非調和溶解することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
希土類元素を用いたマグマと水流体の分配実験には成功した。軽希土類元素と中希土類元素・重希土類元素で分配係数に違いを見いだすことができた。また、蛇紋石の水流体に溶解する実験は、当初の予想以上に重要な実験結果をもたらしている。
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今後の研究の推進方策 |
希土類元素を用いたマグマと水流体の分配実験については、早く結果を論文にしたい。また、蛇紋石の水流体に溶解する実験は、実験点をいまよりも増やして、より説得力のある研究としたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画していた放射光実験を行わなかったため、旅費が必要なかった。ダイアモンドアンビル(ダイアモンドの単結晶)が予想していたよりも消耗しなかったため。また、ラマン散乱分光計のミラーは経年変化するので、交換を予定していたが、従来のミラーの4分の1の費用で交換できるようになったのも大きい。 本年度は、放射光実験を行う。大学院生がよい研究成果を出しているので、国際学会に参加する旅費としても支弁したい。また、本年度はダイアモンドアンビルの実験条件がより高圧になるために、ダイアモンドアンビルを購入する必要が大きいと予想する。
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