研究課題
中性子カメラは、東芝製の中性子カラーイメージインテンシファイアを使用し、中性子グリッドは原研所有のものを使用した。このカメラの入力面には濃縮ホウ素B10を反応膜として使用し、中性子線との反応で発生したα線がCsI蛍光体を発光させる仕組みとなっている。実験の結果、中性子画像の高精細化にはスリットサイズの最適化が非常に重要であることが明らかとなった。現在までの結果をまとめると、現状では中性子のフラックスが限られるため、スリットサイズや測定時間、及びカメラ感度を最適化させて、解像度のみの向上を狙うのではなく、フラックスも重視した光学系で撮影を行った方が良好であるという結果を得た。この条件で中性子グリッドを利用すると、空間分解能が上がるよりむしろ、その中性子フラックスの減少効果の方が大きく、画像の空間分解能が著しく上がる結果は得られていない。これを補うために、画像解析の併用を試みており、現状ではその併用で、中性子イメージング画像の高精細化に取り組んだ。今回得られた一番いい光学系を使用して、最終的に、X線では観察が不可能な、ZrO2圧媒体とPtカプセルに封入した状態での試料の水素濃度イメージングに成功した。これは将来的に高温高圧下での試料の水素濃度の中性子イメージングが可能になるということ意味している。このように、高温高圧下での中性子イメージングの可能性、及び方向性を示すことができた。この結果は、装置論文として既に論文として発表している (Hattori et al., 2015)。J-PARCでの現在までのビーム強度は300 kW程度であり、将来的にはこの3倍以上の1 MWで運転される予定であり、そのようにフラックスが一段と増えれば、今回の中性子イメージングの更なる高精細化が期待できる。
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