研究課題/領域番号 |
25610164
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
光延 聖 静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府, 助教 (70537951)
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研究分担者 |
白石 史人 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30626908)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | シングルセル分析 / 鉄酸化バクテリア / 玄武岩 / パイライト |
研究実績の概要 |
平成26年度は、前年度に引き続き、シングルセルレベルでの化学種決定を可能とする走査型透過X線顕微鏡(STXM)をもちいて、岩石(鉱物)-微生物-金属相互作用の解明を試みた。地殻内生命圏における微生物-鉱物相のモデル反応系として、普遍的に海底熱水環境に観察される硫化鉄鉱物の微生物(鉄酸化菌)による酸化反応を選択した。STXM実験は、大型放射光施設である高エネルギー加速器研究機構と分子科学研究所UVSORにて実施した。微生物-鉱物境界面を約50 nmの高空間分解能で観察した結果、鉄酸化菌が鉱物付着面で金属錯生成能を有する細胞外有機物(酸性多糖)を大量産生し、鉱物溶解を約40倍促進させるという「生物触媒作用(Bio-catalysis)」機構を観察することができた。この機構は、炭素と鉄の分子レベルの化学種決定に基づいて得られた直接的知見である。したがって、STXM法による微生物-鉱物境界面の金属化学種および有機物種の同時決定法をほぼ確立できたと考えている。今後は、天然試料である太平洋海底から採取した岩石試料に本手法を適用し、室内実験と同様の鉱物溶解機構が観察されるかを確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に確立した手法を実際の微生物試料に応用し、シングルセルレベル(空間分解50 nm)での炭素/鉄の化学種決定に成功しており、順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、採取済みの海底下岩石試料に対して確立した手法を応用し、地殻内生命圏に関する知見を得る予定である。
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