高密度プラズマ発生装置を用いて,多数の高リュドベルグ原子を含む低温高密度非接触再結合プラズマ(電子温度 0.1eV以下,電子密度 1020m-3以上)を生成する。 低温高密度非接触再結合プラズマ中の直流電気伝導度の詳細計測をおこなうことにより,非接触再結合プラズマのWarm Dense Matter(WDM)としての特性を明らかにする。以上により,定常大容量WDM媒質の生成手法を確立し,新しいWDM研究のプラットフォームを創出する。 電子温度を測定する従来のダブルプローブ法において、新しくプラズマ抵抗を考慮したダブルプローブ理論を構築した。この理論式により,プラズマ抵抗が探針特性に与える影響を評価することが可能となった。低温高密度非接触再結合プラズマ中のプラズマ抵抗が探針特性に与える影響を評価し、分光法による電子温度を用いて,プラズマ抵抗として0.36 Ωmを導出した。 得られた非接触プラズマのプラズマ抵抗値の物理的に妥当性を検討した。電子-中性粒子衝突における抵抗率においては,衝突輻射モデルによるリュドベルグ原子密度を評価した。電子-イオン衝突による抵抗率はSpitzer抵抗によって計算した。その結果、電子-中性粒子衝突では4桁以上、電子-イオン衝突では1桁以上も実験結果に比べ小さな値となった。また、プラズマ乱流により生じる抵抗も評価したが、これも1 桁以上実験結果に比べ小さな値となった。 以上の結果は、低温高密度非接触再結合プラズマ中の電気伝導率の異常性を明確に示しており,一種のWDM状態に近い状態にあることを示唆している。
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