プラズマを利用した電子加速であるレーザー航跡場加速やビーム航跡場加速は、プラズマ波の作り出す高周波加速器の1000倍にも達する高い加速電場を利用し、超高エネルギー電子加速を実現する手法として期待されている。本研究では、より小さな装置規模で超高エネルギー電子加速を実現するため、各々の方式の持つ利点を融合し、レーザー航跡場加速で得られる電子バンチをビーム航跡場加速で加速するハイブリッド型のプラズマを利用した電子加速の新概念を提案し、その原理実証を行うことを目的としている。 本手法の実証には、レーザー航跡場加速によってエネルギーの揃った準単色電子バンチを発生し、電子密度の高い電子バンチを安定して得る必要がある。安定して準単色電子バンチを得るため、プラズマ中に急峻な空間勾配を持つ密度の不連続点を形成し、そこでのプラズマ波の破砕による電子入射を利用する電子加速を試みた。超音速ガスジェット中にブレードを挿入して衝撃波を発生し、ガス密度の不連続点を形成した。干渉計測により、形成される密度の不連続点では、最大2倍程度の密度比を持つことがわかった。また、密度勾配のスケール長は20 μm程度と見積もられた。 この密度の不連続点を持つガスジェットに、波長800 nm、エネルギー700 mJ、パルス幅40 fsのチタンサファイアレーザーパルスを照射し電子加速を行った。電荷量が2 pCの65 MeVにエネルギーのピークを持つ準単色電子バンチ発生に成功した。
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