研究課題/領域番号 |
25620001
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡本 亮 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (10435951)
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研究分担者 |
藤原 正澄 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (30540190)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 分光 / 量子計測 |
研究概要 |
本研究では、量子光源を利用した新しい分光装置を開発することで光源由来の量子ゆらぎを取り除き、室温で1分子の光吸収スペクトル測定に挑戦する。H25年度は、(A)量子光源の構築と評価、(B)古典光源を用いた1分子計測系の構築の2項目に関して研究を進めた。 項目1に関しては、パラメトリック下方変換過程を用いた光源を構築した。非線形光学結晶にCWポンプレーザー光を入射し、発生した光子対をそれぞれ光ファイバに導入した。また、理論的な計算結果から、本研究では、量子光をいかに効率よく収集するかが重要であることが分かった。そこで、光子の光ファイバカップリング効率を向上させるために、系の最適化を進めた。 項目2に関しては、レーザー光源を用いた1分子計測系を構築した。これは、量子光源による計測との比較のために用いる。レーザー光は100倍の対物レンズを用いて、サンプルに集光、サンプルを通過したレーザー光は再度100倍の対物レンズに入射され、平行光にした後、光検出器で測定する系を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度は、量子光源の構築と評価、及び古典光源を用いた1分子計測系の構築を目標としていた。その結果、量子光源の構築を完了した。また、その出力光子のファイバへのカップリング効率について最適化を進めた。それと平行して、レーザー光源を用いた1分子計測系についても構築を進めた。これらの理由により、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度の研究で得られた結果・知見にもとづき以下のように研究を進める。まず、詳細な理論計算により、量子光源の収集効率が非常に重要であることが分かったため、光子のファイバへのカップリング効率の最適化については引き続き理論・実験の両面で研究を進める。その後、構築した量子光源と、古典光源を用いた1分子計測系を組み合わせることで、古典/量子ハイブリッド測定システムを構築する。構築した系を用いて、光吸収スペクトル測定を行い、量子・古典でS/N比を比較・評価を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまで行っていた研究が終了したため、その研究で用いていた光子検出器と、自動ステージシステムの利活用が可能になった。これらを購入しなかったために、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、まず、量子光源の改良に使用する予定である。主に、光ファイバへのカップリング効率向上のための光学部品を購入する予定である。さらに、ターゲットとして用いる波長で高い検出効率を持った光子検出器を購入する予定である。翌年度分として請求した助成金については、その他、消耗品や、成果発表(国内・国際旅費)として使用する予定である。
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