現行の電子密度交換汎関数には、困難な2つの問題が付随している。1つは静的相関誤差であり、もう1つは自己相互作用誤差である。前者は化学結合の解離極限において顕著になり、後者は余剰電子が存在する系において増大する。我々は、原子核のつくる静電場をエネルギー座標として、通常の電子密度をこの座標上に射影することにより新しい分布関数を構築し、これを変数とする交換エネルギー汎関数を開発した。 先ず、上記の方法が簡単な分子の結合領域近傍のポテンシャルエネルギーを記述できるかどうかを検証した。この汎関数によれば、単純な2原子分子ののポテンシャルエネルギーがGGA汎関数とほぼ同等の精度で計算できることが分かった。
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