有機分子とリチウム塩の溶融状態から過冷却液体・ガラス状態に至るまでのリチウムイオン伝導度におよぼす水素結合の影響について、イオン伝導度と核磁気共鳴(NMR)による検討を行った。通常、リチウムイオンは有機分子中の酸素に配位結合するため、ガラス状態では運動が凍結してイオン伝導性を示さないが、酸素位を水素結合でつなぐ事により過剰なリチウムイオンはガラス状態でも移動しやすくなる。一方で、水素結合の解離によるプロトン伝導も発現し、両者が競合する。この現象は、トレハロース・水・ヨウ化リチウムからなる三元系で明瞭に観察され、また水素結合を含む様々な高分子電解質でも見られる事が分かった。
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