1.質量選別光解離画像観測 マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、サマリウム(Sm)、エルビウム(Er)の4種の金属にアセトンやアルゴンが配位したクラスターをレーザー蒸発法で生成し、リフレクトロンで観測した質量スペクトルと量子化学計算により構造の安定性を明らかにした。MgとTiでは4分子のアセトンで配位していることが分かり、配位数が5以上のクラスターでは、アセトンが水素結合することが分かった。これに対しSmとErを含むクラスターでは、配位数40を超えるクラスターが観測された。これらの系の質量スペクトルでは、配位数が12から13になるときにピークの強度がわずかに小さくなる傾向が見出された。また、ここで用いた装置では、クラスターイオンを質量選別し266または355nmのレーザー光を照射したときの光解離反応を画像として観測できるようにした。平成26年度は特に解離レーザーの整備と画像観測装置の調整を行った。 2.ペニング電子分光 磁気ボトル効果を有する不均一磁場中で阻止電場を用い、HeI共鳴線を用いた光電子分光ならびに、He(23S)のペニング電子分光(PIES)を測定できるようにした。アルゴンのスペクトルから分解能はおよそ185 meVと決定された。PIESの実測と量子化学計算により、セレノアニソールの分子内回転は平面構造が安定であることを明らかにした。測定されたペニングイオン化断面積は、分子軌道の外側にはりだした電子密度で理解することができたが、ベンゼンの場合に比べてπ軌道に由来するバンドの強度が小さいことを見出した。 3.共鳴多光子イオン化分光 (REMPI) セレノアニソールの分子内回転を明らかにするため、波長可変紫外レーザーでREMPIを測定した。0-0遷移は~34200cm-1と決定され、分子内回転に相当するねじれ振動の系列はほとんど観測されなかった。
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