我々の視覚は明暗視を担うロドプシンと色覚を担う視物質から構成されるが、中間体の結晶構造まで決定されているロドプシンと比較して、霊長類色覚視物質の構造解析はこれまで皆無だった。我々は2010年に世界で初めて培養細胞を用いて調製したサルの緑・赤感受性視物質の赤外分光解析に成功した。本研究では、この手法を用いてこれまで実験が不可能と考えられてきた青視物質の構造解析に挑戦した。試料調製や測定条件を最適化した結果、低温赤外分光を用いたサル青視物質の構造解析に成功し、ユニークな構造を明らかにすることができた。この成果はアルゼンチンで開催された国際光生物学会議(参加者500名余)のキーノート講演で紹介した。
|