| 研究課題/領域番号 |
25620015
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| 研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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| 研究機関 | 大阪大学 |
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研究代表者 |
今西 哲士 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60304036)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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| キーワード | イオン液体 / 拡散 / 拡散層 / ホッピング / 電極 / 光電子分光 |
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| 研究概要 |
従来から実験を行ってきたAg+イオンの他に、Li+などの他の金属イオンを溶質とした時の拡散挙動を調べた。基本的に、Ag+イオンと似たような挙動をとったが、実験結果と我々のモデルから得られる拡散パラメータには、大きな差が見られた。特に、ホール濃度については、金属イオン濃度が小さくなると、ホール濃度が増加する傾向が見られた。ここでいうホール濃度とは、実際にホッピングに使用できるホールの濃度であることから、この結果が、非常にリーズナブルである。また、イオン液体の種類も変えて実験を行ったところ、通常拡散を示す成分の項（拡散係数）（全体の拡散係数のうち、ホッピング拡散を示す項意外の成分）が、Stokes-Einsteinの式に従うことが分かった。このことは、ホッピング拡散が支配する条件下においても、通常の拡散挙動で動く成分が残っていることを意味している。
一方で、ホール濃度Chole、および金属イオン濃度が無限に小さいときのホッピング拡散係数D0hopの２つのパラメータの温度依存性についても詳しく調べた。その結果、D0hopは、温度増加に対してほぼリニアに増加することが分かり、これは温度増加によってホッピング頻度が上がることによるものであることが推察された。一方、Choleは、温度を増加させていくと、ある温度を境に急激に減少することが分かった。これは、この温度を境に､ホッピング様の拡散から、通常の拡散に転移することを意味している。この変化の詳しい原因は、まだ明らかになっていないが、現在のところ、ホールの寿命（温度増加によって短くなる）とホッピング拡散速度との関連性によって説明が出来るのではないかと考えている。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度において、金属イオン種とイオン液体種を変化させて実験を行うことによって、予定通りイオン液体拡散層中特有の拡散挙動が見えてきており、計画通りに研究は進んでいる。また、EC-XPSの実験も、セルと検出器の改造により、精度の高い実験が可能になった。これまで、不安定でなかなか再現がとれなかった実験も、これによってスピードアップが図れると考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
研究自体は､計画通り進んでいる一方で、そのメカニズムの本質的なところにはまだ到達しているとは言えない。特に、今回の実験によって、ホッピング拡散を支配するいくつかのパラメータの温度依存性が明らかになったが、ここにメカニズムの本質を調べる鍵があると考えている。今後は、こうした温度に依存する挙動も含めて、ホッピングに使われるホールとは何なのか、その具体的な物理的描像に迫っていきたい。
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| 次年度の研究費の使用計画 |
前年度は、これまでの手持ちの実験装置および試薬でことたりたため、あまり使用しなかった。本来は、EC-XPSの測定において、一定の費用が発生するはずだったが、本年度は、拡散現象の温度依存性という新しい現象の解明に時間を費やしたために、あまり必要経費が発生しなかった。
次年度においては、EC-XPSの本格測定に入るために、当初のH25年度計画通りの金額が必要になる予定である。また、次年度は、界面付近における電場の影響や分極状態といった詳細な分子挙動解析を計画しており、本年度繰越した分とは別に、H26年度計画通りの金額が必要となる。また、これらの研究は独立に同時進行出来るものであり、H25年度繰り越し分とH26年度計画分の経費は同時に使用していく予定である。
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