金属粒子の吸収スペクトルはサイズに依存し、金属原子は原子軌道間の電子遷移を示す鋭い吸収ピーク、金属ナノ粒子は表面プラズモン共鳴に由来する幅の広い吸収バンドを特徴とする。このように、一電子励起から集団励起への変化が、原子数が数個から数十個のクラスター領域で起きると考えられる。この挙動の解明を目的に、銀クラスター2~35量体の光吸収分光に取り組んだ。その結果、およそ25量体を境に、小さなサイズでは比較的鋭い複数の吸収ピークからなる一電子遷移スペクトル、大きなサイズではほぼ同一の形状の幅広いスペクトルが得られた。後者のように、ナノ粒子の成長過程で現れる特徴的な吸収スペクトルを初めて見出した。
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