研究課題/領域番号 |
25620024
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
狩野 直和 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00302810)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ケイ素 / ゲルマニウム / 結合 / 超原子価化合物 |
研究実績の概要 |
前年度までの研究成果をもとに、超原子価5配位ケイ素原子を配位子とする遷移金属錯体の合成を試みたが、立体障害のために結合が生成しなかった。そのため、5配位ケイ素原子が高配位状態をとる原子と結合する場合の反応性について知見を得るために、アート型5配位ケイ素原子同士の結合を持つジアニオン性化合物の反応性を検討した。5配位ケイ素-5配位ケイ素間結合を持つジアニオン性化合物に対して酸を作用させると、ケイ素に結合した酸素原子にプロトン化が段階的に起こり、モノアニオン性および中性のケイ素-ケイ素結合を持つ化合物へと変換できた。生成物の構造はX線結晶構造解析および多核NMRスペクトルにより決定した。生成物の結晶構造はプロトン化の影響によって変化し、ゲルマニウム原子周りの構造が三方両錐構造から四面体構造に近づくとともに、二つのゲルマニウム-酸素結合が平行になることがわかった。得られた生成物に対して塩基を作用させると、段階的に逆反応が進行して、元の化合物が再生した。ジアニオン性の5配位ケイ素-5配位ケイ素間結合化合物に対して酸化剤を作用させたところ、ケイ素-ケイ素結合が切断されることがわかった。酸化に対する反応性は5配位ケイ素-ケイ素結合化合物の電荷に依存することがわかった。これらの化合物の高周期類縁体である5配位ゲルマニウム-ゲルマニウム結合を持つ化合物を初めて合成し、酸・塩基に対して同様の反応性を示すことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超原子価ケイ素化合物の研究という観点と、ケイ素の高周期元素であるスズ原子を配位子とする遷移金属錯体の合成は達成できている。しかし、超原子価ケイ素原子を配位子とする遷移金属錯体の合成はまだ達成できていないため、計画よりもやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
目的化合物の関連化合物についてこれまでに得られた知見をもとに、ケイ素-遷移金属錯体を合成し、その触媒能を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
目的とする金属錯体の合成にいたっていない。化合物の分離および解析に必要である装置・機器を購入予定だったが、目的とする錯体が合成できていないために、今年度は購入を見送り、合成が達成できた段階で購入することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
目的とする金属錯体が合成できた段階で、装置・機器を購入し、その購入費用として使用予定である。合成できなかった場合には,合成のために検討する試薬代等の購入に使用する予定である。
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