本研究は,“植物の眼”ともいえる光受容色素タンパク質フィトクロムの機能解明を,酸化的官能基化を基盤とする立体固定型フィトクロム発色団の化学合成から集中的に検討した。その結果,DDQを用いるC環型ピロールの酸化において,側鎖α位の選択的酸化を実現することができ,これを応用して7員環,および8員環固定型15E-anti立体固定発色団の合成に目処をつけた。一方,CD環ジピロールのNBSによる酸化によりメソ位が選択的に臭素化されることを見出し,この臭素化体に,Grignard試薬を作用させると収率よく炭素鎖を導入できることを見出し,15E固定型フィトクロム発色団の合成を達成することができた。
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