研究課題/領域番号 |
25620030
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
忍久保 洋 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50281100)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 反芳香族 / スタッキング / パイ電子 / ポルフィリン / 液晶 / 二次電池 / リチウム電池 |
研究概要 |
我々は、ジブロモジピリンニッケル錯体を低原子価ニッケルを用いて分子内ホモカップリングさせることによりノルコロールニッケル錯体が効率よく合成できることを見いだしている。さらに、得られたノルコロールニッケル錯体が空気中で安定であるにもかかわらず強い反芳香族性をもつことを明らかにしている。今回、種々の置換基をもつノルコロールニッケル錯体を合成し、その結晶中でのパッキング構造において、反芳香族16π電子系が非常に接近した積層構造をとることを見いだした。また、このノルコロールニッケル錯体の単結晶が高い電荷移動度をもつことをTRMC法による測定から明らかにした。 一方、反芳香族化合物に特徴的な二電子酸化・二電子還元特性を活かして、ノルコロールニッケル錯体を正極に、金属リチウムを負極に用いた二次電池を作成した。その結果、従来のリチウム電池を超える高い充電容量を実現するとともに、200回の充放電サイクルを繰り返したあとも最高値の約80%の性能を保っていることが分かった。この充放電サイクル特性は有機化合物を用いた二次電池としては高いもので、耐久性の高い有機化合物二次電池の開発につながる可能性がある。 また、反芳香族化合物が電子の放出と電子の受容の両方に優れている点を活用し、正極・負極の両方にノルコロールニッケル錯体を用いて、金属リチウムを含まない二次電池の作成にも成功した。この電池は、100回の充放電サイクルのあとも約90%の性能を保持することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
反芳香族化合物であるノルコロールニッケル錯体の結晶中での積層構造を明らかにし、それが高い電荷移動度につながることを明らかにした。それに加えて、ノルコロールニッケル錯体を活物質として用いた二次電池を試作し、それが想定を超える高い性能を示すことを見いだし、今後の反芳香族化合物に関する研究の進展に関して重要な成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はノルコロールニッケル錯体を基盤とする液晶の創成し、高い半導体特性をもつ液晶を開発する。また、ノルコロールニッケル錯体を用いた二次電池に関して更なる性能の向上に取り組む。充電容量の増大と繰り返し耐久性の改善に取り組む。
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次年度の研究費の使用計画 |
効率的に物性測定を行ったため、試料費用が若干少なくて済んだため。 合成試薬など消耗品に使用する。
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