一連のモリブデンおよびレニウム6核クラスターの発光スペクトル・発光寿命の温度依存性測定を通して、クラスター錯体の励起三重項状態のゼロ磁場分裂パラメータを見積もった。その結果、励起三重項状態のスピン副準位のゼロ磁場分裂エネルギーが大きいほど強発光かつ長寿命となることを実験的に示した。また、カルボン酸をターミナル配位子として有するモリブデン6核クラスターの発光特性はカルボン酸の酸性度により制御可能であることも明らかにした。このような研究から、ゼロ磁場分裂制御による遷移金属錯体の発光制御の可能性を明らかにすることができた。
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