本研究では最終的な目標として,水と二酸化炭素からギ酸と酸素を生成する炭素循環型人工光合成システムの開発を目指し,水の酸化と二酸化炭素のギ酸への還元を触媒する金属多核錯体の設計を行った。具体的には,酸化触媒としてジイミン系配位子を含むマンガン8,12,13,14核オキソ錯体を合成し,それらの詳細な構造や酸化還元特性について検討を行った。また,還元触媒としてはSPPS型4座配位子によるNiM異種金属2核ヒドリド錯体(M = Rh, Ir)や直鎖状4座ホスフィン配位子を用いた銅2,4核ヒドリド錯体を合成し,その構造を明らかにするとともに二酸化炭素との反応を行った。
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