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2013 年度 実施状況報告書

外場応答型分子性強誘電体

研究課題

研究課題/領域番号 25620046
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関九州大学

研究代表者

佐藤 治  九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (80270693)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード強誘電 / 金属錯体
研究概要

強誘電物質の開発を目指して[H2dabco] (H2dabco2+ = diprotonated 1,4-diazabicyclo[2.2.2]octane)に着目して研究を行った。その結果、[H2dabco]と[2CB] (2CB=2-Chlorobenzoate)からなる新物質[H2dabco]・[2CB]2の単結晶を得た。この物質は室温でPca21の空間群に属する構造をしていた。非対称ユニットは二つの2CB アニオンと一つの [H2dabco]2+カチオンからなり、二つの2CB アニオンが[H2dabco]2+カチオンで架橋された構造をしていた。分子間水素結合のN-O間の距離は2.555(2)と2.593(2) Aであった。この物質のDSCを測定したところ325 K付近で相転移することがわかった。高温相の構造は非極性のPbcaの空間群に属していた。対称要素は室温で(E, C2, σv, σd)、高温相では (E, 3C2, i, σv, σd, σh)である。これは常誘電から強誘電への相転移が起きたことを示唆している。高温相では[H2dabco]2+の配向は無秩序化しており、二つの2CBアニオンの中間に位置していた。分子間水素結合のN-O間の距離は2.572(4)Aであった。さらに、この物質の誘電率を測定したところ325 K付近で誘電率がピークを示した。これは常誘電から強誘電への転移が起きたことに一致している。さらに、極性構造に変化することを確かめるためにSHG顕微鏡を用いて温度変化によるSHGの強度変化をモニターした。その結果325 K以下でSHGが強まることが分かった。これは、非極性構造から極性構造へと変化したことを支持している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

分子性強誘電材料の開発が注目されるようになり様々な有機強誘電体、金属錯体強誘電体が開発されている。また、電荷秩序に伴う強誘電材料(電子強誘電体)が酸化物や低次元有機導体で相次いで見出されている。今後、これらの物質を応用していくためには、光、温度等の外部刺激により誘電特性をスイッチングできる新物質を開発する必要がある。この目標を達成するために一年目はまず新規有機強誘電体の開発を目指して研究を行った。その結果室温以上で強誘電への相転移を示す新物質を開発することに成功した。二年目は外場により強誘電特性を自在に制御できる新物質の開発を行う予定であるが、そのための基盤となる物質を得ることができたといえる。従って、一年目としてはおおむね順調である。

今後の研究の推進方策

一年目に開発した物質の電場応答、光応答を検討する。また、光応答部位を導入した新規有機強誘電体の開発を行う。これらにより、強誘電特性と光応答性が相互作用する新物質の開発を目指す。

次年度の研究費の使用計画

液体ヘリウムの供給不足で一部予定通りに測定が進まず次年度使用額が生じた。
測定装置を低温センターに移すことにより問題は解決したので今年度中に研究・研究費の使用が当初の計画通りに戻る予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] キラル配位子を用いた複核錯体の構造及び磁気物性の制御

    • 著者名/発表者名
      金川慎治、楢崎優、姜舜徹、佐藤治
    • 学会等名
      日本化学会
    • 発表場所
      名古屋大学
  • [学会発表] 原子価互変異性コバルト複核錯体の光磁性スイッチング

    • 著者名/発表者名
      金川慎治、楢崎優、姜舜徹、佐藤治
    • 学会等名
      光化学討論会
    • 発表場所
      愛媛大

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公開日: 2015-05-28  

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