研究実績の概要 |
昨年、強誘電物質の開発を目指して[H2dabco] (H2dabco2+ = diprotonated 1,4-diazabicyclo[2.2.2]octane)に着目して研究を行い、[H2dabco]と[2CB] (2CB=2-Chlorobenzoate)からなる新物質[H2dabco][2CB]2の開発に成功した。結晶構造の解析から、温度変化により極性構造と非極性構造間をスイッチすることが示唆されている。本年度は、この物質の極性構造を確かめるために、岡山理科大の研究者と共同で焦電流の測定を試みた。極性構造を持つ物質は焦電性を有することが分かっている。単結晶を劈開し実験を行ったところ初期的な結果ではあるが、焦電流が観測され極性を持つことが明らかになった。また、強誘電挙動を確かめるために、ヒステリシス曲線の測定を試みた。さらに、[H2dabco][2CB]2に加えて様々な新物質の開発を試みた。特に、レドックス挙動を示す配位子を有する複核コバルト錯体において、温度変化による電子移動現象を見出した。
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