研究実績の概要 |
本研究では、増核反応―酸化反応―増核反応を連続的におこなうことによって、一次元金属鎖分子を効率的かつ高収率で合成する手法を開発することを目的として研究を実施した。前年度までに、1,2-ビスフェニルブタジエニルベンゼンを配位子として用いて、増核反応―酸化反応―増核反応の合成シーケンスの実現を目指して研究を遂行した。その結果、1,2-ビスフェニルブタジエニルベンゼンに対して、ジカチオン性パラジウム4核種を導入しておき、その後、2電子酸化によりテトラカチオン性パラジウム4核種を発生させ、最後にパラジウムゼロ価種を導入することによってテトラカチオン性7核種が生じることを見出した。最終年度では、生じたテトラカチオン性7核種の単離方法の確立し、その同定をおこなった。また、より拡張されたπ―共役系不飽和炭化水素類を配位子として用いた長鎖構造の構築について検討をおこない、2電子酸化反応が、長鎖構造では、より効率的に進行することを確認した。本研究により、増核―酸化―増核シーケンスが、一次元金属鎖分子を構築するための有用な手法になることが明らかになった。
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