一次元金属鎖錯体は、その低次元金属構造に基づく興味深い物性を発現することが期待されることから、大きな興味が持たれ続けている。近年、一次元金属鎖を均一系で「分子」として取り扱う化学技術が大きく進歩しつつある。しかし、長鎖一次元金属鎖を大量かつ簡便に得ることが困難であり、一次元金属鎖分子の有用な性質を十分に引き出せていない。本研究では、合成面での課題を克服する新しい合成指針として「酸化―増核シーケンス」を実証することを目指して研究を遂行した。その結果、π―共役系不飽和炭化水素を配位子として4核金属鎖を構築し、2電子酸化をおこなったのちに、増核することによって7核クラスターを構築することに成功した。
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