研究課題
有機π電子系は構造の多様性や電子状態の多面性のために様々な特性を有し、人類が今日享受しているエレクトロニクスの分野でも大きな活躍を見せている。今後IT技術の更なる発展に伴い、π電子系はその修飾の容易さに基づく特性のfine-tunablityにより、無機材料の弱点を補える素材として益々その重要性を高めていくことが期待される。分子の精密設計により、個々のπ電子系に多くの特性を付与することが可能であり、本研究では、Maximan Function on Minimum Skeleton(MFMS)と名づけた概念を分子設計に際して提案した。有機π電子系分子に多用な機能を付与する設計指針としては、個々の機能を担う部分構造をそれぞれ組み込むことが直接的な方法である。しなしながら、そのようなアイデアの結果として、分子構造は複雑かつ巨大となる。不必要に大きな構造は、アトムエコノミーの観点からばかりでなく、合成段階数や化合物の取扱いの点からも、多種の誘導体を合成して性質を比較することが必要な機能探求型研究には望ましくない。申請者は、本申請の中で、「如何にして単純な骨格に多用な機能を盛り込むか」というMFMSの実践により、2系統の機能性分子開発を展開した。具体的には、電子授受に際して結合の形成や切断を伴うことで、電気化学的双安定性や容易な二電子授受能を持つ動的酸化還元系(dyrex系)を基本骨格とし、MFMSの設計指針のもとで、蛍光、CD特性変化を合わせ持つ多重出力型エレクトロクロミズム系の創成ならびにCD特性変化を合わせ持つ多重出力型エレクトロクロミズム系の水系溶媒中での機能獲得に成功した。今後は、これらの分子を超分子的に連結することで、そのバルクとしての機能を、ソフトマターとしての特性制御に反映させることを目指した研究へ展開予定である。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)
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