有機π電子系分子に多用な機能を付与する設計指針としては、個々の機能を担う部分構造をそれぞれ組み込むことが直接的な方法である。しかしながら、そのようなアイデアの結果として、分子構造は複雑かつ巨大となる。不必要に大きな構造は、アトムエコノミーの観点からばかりでなく、合成段階数や化合物の取扱いの点からも、多種の誘導体を合成して性質を比較することが必要な機能探求型研究には望ましくない。申請者は、本申請の中で、「如何にして単純な骨格に多用な機能を盛り込むか」というMFMSの実践により、先に申請者が開発した動的酸化還元系(dyrex系)をモチーフとして、2系統の機能性分子開発を展開した。
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