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2014 年度 実施状況報告書

界面電荷移動遷移を新規動作原理に用いた次世代無機太陽電池の研究開発

研究課題

研究課題/領域番号 25620054
研究機関群馬大学

研究代表者

藤沢 潤一  群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (20342842)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード太陽電池 / 光電変換 / 酸化チタン / 界面電荷移動遷移 / 硫黄
研究実績の概要

本年度は、無機物質間の界面電荷移動遷移の発現と界面電荷移動遷移による光電変換の実証を目的に研究を行った。通常、異種無機物質の界面では、格子不整合等による構造欠陥のために、良好な化学結合を保持することが困難である。界面電荷移動遷移の発現では、ヘテロ界面での強い電子結合を必要とするために、異種無機物質界面での界面電荷移動遷移の発現は非常に困難であると考えられた。本年度は、この格子不整合を解決するために、着想を変えて、異種金属酸化物を組合せるのではなく、硫黄化合物を酸化チタン(TiO2)ナノ粒子に化学結合させることを発案した。硫黄化合物は高い占有軌道をもつために、硫黄からチタン原子への電荷移動遷移が起こりやすいことが考えられた。さらに、硫黄化合物は、分子状でチタンに点接合するために、格子不整合という問題も起こらないと考えられた。実験では、二座のキレート配位子である1,2-ベンゼンジチオールをTiO2ナノ粒子へ結合させた。TiO2ナノ粒子は、1,2-ベンゼンジチオールの溶液を滴下するとすぐに橙色に発色した。ATR-FT-IR測定から、ベンゼンジチオールが表面のチタン原子に二座配位していることが確認された。吸収スペクトルと密度汎関数理論計算から、硫黄原子からTiO2への界面電荷移動遷移が発現することがわかった。このTiO2‐ベンゼンジチオール複合体を用いて、電気化学太陽電池を作製し、その光電変換特性を調べたところ界面電荷移動遷移に基づく光電変換を観測した。(内部量子収率:約67%)今後、これらの結果を発展させることで、界面電荷移動遷移を新規動作原理に用いる無機太陽電池の研究開発につながると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

異種無機物質間の界面電荷移動遷移を発現するための方法論について考える時間が必要であり、本年度は、酸化チタンと硫黄化合物を組合せることでチタン‐硫黄界面での電荷移動遷移の発現と界面電荷移動遷移による光電変換の実証を行うことができた。

今後の研究の推進方策

本年度の研究成果をもとに、チタン-硫黄、または、チタン-セレン等の界面化学結合を研究していくことで、界面電荷移動遷移を新規動作原理に用いる無機太陽電池の研究開発につながると考えられる。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、基礎科学的な研究に重点を置いて研究を行ったため、太陽電池の作製および評価に関しては、注力出来なかった。そのため、次年度に太陽電池の作製および評価を行う予定であり、予算を次年度に繰り越し、太陽電池の作製と評価に必要な物品の購入と学会発表の経費に使う予定である。

次年度使用額の使用計画

太陽電池の作製と評価に必要な物品の購入と学会発表の経費に使う予定である。

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公開日: 2016-05-27  

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