研究課題/領域番号 |
25620056
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植村 卓史 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50346079)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 化学モーター / 多孔性金属錯体 / 非平衡 |
研究概要 |
ミクロレベルでの機械的運動を生み出す研究が盛んに行われている。特に生物モーターなどの生物系において化学エネルギーを直接運動へと変換する系が注目されている。細胞では化学反応により非平衡の環境を作り出すことで化学エネルギーを運動へと変換している。これらに倣った人工系において、分子を放出あるいは吸着することで周りの表面張力を変化させ、それにより駆動力を生み出すことが試みられている。金属イオンと有機配位子との自己集合に寄って構築される多孔性金属錯体(MOF)は、細孔構造の高い均一性や設計性を有しているために、分子吸着や分離、触媒材料としての応用が世界中で活発に進められている。今回、我々はMOFのもつ細孔にゲスト分子を導入しこれを放出させることでMOFの化学モーターとしての有用性を評価した。これまで、MOF中にオリゴペプチドを導入し、キレート剤でMOF骨格を徐々に壊すことで、細孔内のペプチドを徐放し、それを推進力とするモーターの開発を行ってきたが、これでは最終的にMOF自体が壊れていくために有用な手法とは言えない。そこで、水に耐性のあるMOFを使用することで、細孔内のゲスト分子と水とのゲスト交換を駆動力としたモーターの開発を行った。その結果、従来のモーターに比べて、高い推進力で長時間、駆動することが分かり、モーター材料として有用であるという知見を得た。最近では、ゲスト分子徐放の方向を制御することで、モーターの運動方向の制御まで可能にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ研究実施計画の通りに研究が進展し、MOFの表面分解を起こさなくともゲスト交換のみで運動するモーターの開発にもこぎつけた。モーターとして繰り返し使用が可能な系となり、応用が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
様々な外部刺激に応答して、運動を制御できる系の創出を目指す。これにより、思ったときに思った動きをする生体様のモーターの開発を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究が順調に進んでおり、対象の物質系も定まってきたことから、多くの試薬やガラス器具、消耗品を購入する必要が無くなった。 新たなモーター材料の開発に向けて、当初の予定にはないような物質系への展開も視野に入れ、実験・研究を行う。
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