本研究は1光子で2つの三重項励起子を生み出すシングレットフィッション(SF)という現象を用いて、有機薄膜太陽電池の光電変換効率向上をねらうものである。本研究ではビスアンテンの効率的合成法の開発に成功した。また、ビスアンテンを基板上に溶液塗布し、形成した膜の過渡吸収スペクトル測定を行ったところ、SF機構により三重項種が生成していることが示唆された。太陽電池の評価では、ビスアンテンとフラーレンのpn接合を形成し、太陽電池として動作するか確認を行った。太陽電池特性は、短絡電流1 mA/cm2、開放電圧0.34 V、FF0.48、変換効率0.16 %と、単純積層型太陽電池としては良好な値を示した。
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