本研究では、電極/単分子/電極接合(単分子接合)のゼーベック係数の制御機構を明らかにするため、単分子接合のゼーベック係数(S)を測定する装置を開発し、分子/電極界面の制御によるSの変化を明らかにした。その結果、Sの符号を制御する方法として、強磁性体電極を用いた分子軌道のスピン分裂を利用する方法と、電極との接触を担うヘテロ環の電子密度を利用する方法が有効であることを明らかにした。また、C82に金属イオンを内包させた系では、伝導軌道のレベルシフトにより、これまでに観測された最大のパワーファクターを示すことを見出し、ナノスケール接合におけるSの制御方法に関する指針を得た。
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