本研究は,フォトクロミック化合物のアモルファス薄膜にパターン露光することで,物質が自発的に移動して膜表面に凹凸構造(表面レリーフグレーティング:SRG)が形成されることに関するものである.光でのみ反応するフォトクロミックナフタセンキノンデンドリマーを使って,これまでに報告されているアゾベンゼン系のSRGとは異なり,露光後,暗所でレリーフが徐々に成長する場合があることをつきとめた.これまで有力とされてきた形成機構ではなく,物質の濃度差を光反応で作り出すことで膜の硬さなどの物性が変化し,SRGが形成されることが分かった.
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