有機物からなる強磁性体の開発は、機能材料の出現につながる重要な研究課題である。空間的に分子の広がりを持つ開殻分子を設計するために、スピロ共役型分子に着目し、基礎的知見を整理することを目的とした。具体的には、放射状に広がった系の中心構造としてスピロ共役を介した軌道間相互作用に基づき強磁性的なスピン整列が期待されるビアクリジン構造を、また複数のフェニル環を有する窒素中心型安定有機ラジカルを選択した。これらを効率よく合成するために、ラジカル状態で分子を化学修飾する方法を開拓した。さらにヘテロ原子を含むスピン原子を介した軌道間相互作用により、強磁性的にスピン整列することを計算化学的に明らかにした。
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