本研究は異種分子を積み重ねた「分子超格子」の創生技術の確立を目的にした。まずn型有機半導体のフッ素化フタロシアニンとp型有機半導体のペンタセンの組み合わせでSTM観察による界面の形成過程解析に取り組んだ。第一層目をフタロシアニン、第二層目をペンタセンとした場合には混晶二重層が形成された。蒸着する順番を逆にするとペンタセン層の格子間にフタロシアニンが挿入された固溶相が形成された。これらは両分子間の水素結合によって安定な構造を取るべく、異種分子が混合することも明らかにした。最後に混合相を形成しないペリレン誘導体とチオフェン分子の組み合わせで平坦かつ急峻な異種分子ヘテロ界面の形成に成功した。
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