研究課題
申請者らが発見した電子強誘電体RFe2O4(R:Ho-Lu, Y)について、超伝導相の存在可能性を探るための研究を継続した。鉄3d電子間の相互作用や量子揺らぎを増強するため、昨年度作成した高圧下電気抵抗測定装置を用いて、イオン半径の異なる2つの系の単結晶試料について測定を行った。一つは昨年度も測定した、最もイオン半径が大きいRイオン(Y3+)を含むYFe2O4である。昨年度の測定試料は酸素量論比が4に近いものであったが、今回は酸素欠損を含み電気抵抗が小さい試料での測定を行った。もう一つはイオン半径が小さいRイオン(Yb3+)を含むYbFe2O4であり、酸素量論比は4に近いものであった。三角格子面内の電子間相互作用は、面内の格子定数が小さいことからYbFe2O4のほうが強いと想定される。圧力を加えた状態において、4GPa以下の圧力領域で両系とも室温近傍では半導体的な振る舞いを示し、異常は特に見られなかった。これは、RFe2O4の性質として、鉄3d電子の局在性が強く、人工的に鉄イオン間の距離を縮めることによっては半導体的性質は変わらないことを示す。ただしYFe2O4では、1.5GPa以上で活性化エネルギーが減少する傾向が見られており、今後圧力領域を増強するなどで電気的性質に変化が見られないか等の測定を継続する。なお、圧力下でのRFe2O4の物性を測定された例は少ないため、今回の装置を基に、極低温から高温まで測定するための装置を作成中である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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