現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ニトロ基の活性化機構を範とする官能基特異的触媒的不斉反応の開発では、ニトロメタンや酢酸ならびにメタノールなど低分子量化合物を活性化し、高機能分子に変換できることも見出しており、当初の研究計画に基づいて順調に推進している。特に、単純なpKaに基づかないアルコールの活性化にも成功したことは、当初に計画していた以上の成果である。また、反応機構についても1)配位子中のNH-プロトンが基質の活性化能を示すこと、2)金属カルボキシレート経由の反応であることについて、これらを強力に支持する解析結果を得ており、「金属とプロトンの協調作用による官能基特異的活性化機構」を触媒開発の設計概念として確立することができた。本成果は、Synlett, 2013, 24, 2045-2048に報告している。 広範な反応様式に適用可能な触媒開発においても、ビスオキサゾリジンピリジン (PyBodine)-金属不斉触媒のTailor-made型開発にも成功し、本成果は、Chem. Commun. 2013, 49, 7776-7778に発表するとともに、雑誌の裏表紙の扉絵にも採用されそのユニークな触媒機能、開発手法が広く世界に発信された。以上のように、当初計画した以上に、初年度において研究は計画に基づいて着実に推進し、想定以上の成果を得ることに成功した。現在、これらの知見を元に、二酸化炭素などより効果的で選択性の高い不斉触媒の開発を進めている。
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